【大阪タワー☆Reserved】
良心の呵責に苛まれ続けながら、消したい傷と残したい想い出を綴るだけのブログです。



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はぢめてのまんびき
僕の初めての万引きが幼稚園児の時だった…、
と言ったら驚かれる方もいらっしゃるだろう。
悪い子ではなかった。
むしろ泣き虫で誰からも大人しいと言われる子だった。

その頃は『およげ!たいやきくん』ブームだった。
僕は駄菓子屋に行っては、たいやきくんカードを集めていた。
その僕を誘惑したのは、所謂くじ引き。
当たりが出れば、たいやきくんカードケースがもらえたのだ。
僕はおばあちゃんに小遣いをもらうたびに駄菓子屋に行き、
くじ引きに挑戦した。もうくじ引きしかしなくなっていた。
店の他の客の子らは、僕の目の前で次々と当たりを引いていった。
何度やっても当たらないのは僕だけ…。
くやしくてくやしくて駄菓子屋からの帰り道はいつも半ベソかいていた。
くそぅ! 駄菓子屋のオッサン、ボロ儲けしやがって!

ある日、とうとう作戦は決行された。
決行する前はドキドキした。
とりあえず当たりを引くまでくじ引きに挑戦した。
が、やっぱりダメだった。
そして作戦を決行したくなかったのに決行せねばならぬことになる。
駄菓子屋のオッサンが他の客の子の相手をしている時に、
むき出しに置いてある当たりのたいやきくんカードケースを
ひとつだけスッと持ち去ったのだ。
服の中に入れたまま小走りで帰った。

夢にまで見たたいやきくんのカードケース。
それが手元にあるだけで僕は満足だった。
だけど、満足したのはその時だけ。
それから僕は長い間、苦しめられることになる。

「それどうしたの?」って弟らに聞かれるたびに、
「当たった」と嘘をつかねばならなかった。
うまく嘘をつけない僕は、いつしか戸棚にカードケースを封印した。
でも戸棚を開けるたびにチラリと見えるカードケース。
そして、いつものように通う駄菓子屋のオッサンの客に対する真剣な対応。
僕はオッサンがかわいそうに思えてきて仕方がなかった。

それから小学生になった4年後、ある大作戦が決行される。

封印していたカードケースを服の中にしまうと、
僕は一直線で駄菓子屋に向かった。
いつものように繁盛していた。
僕は何かひとつ買い物をして、オッサンの様子をうかがっていた。
オッサンが目を放したスキを見て、店の死角になった部分に
服から取り出したカードケースをポンと置いて帰ったのだ。

店から離れると遠くからオッサンの声が聞こえた。
「これ落としたの誰〜!?」
僕はその声を確認すると一目散に小走りで帰った。
ニヤリと笑いながら。

僕は4年間の緊張と自責の念から解放された。
二度とそこの駄菓子屋には行かなくなってしまったけれど。
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