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【大阪タワー☆忘れたい人】
良心の呵責に苛まれ続けるブログです。



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涙川
そこには悲しい川が流れ、
傍らには静かな家族が住んでいた。


その子はとても小さかった。
身長が130センチより伸びなかった。
運動でも勉強でも成績は並み以下だった。
小さいことをネタにいじめられたが、
学校を遅刻欠席したことは一度もなかった。


そこには逞しい川が流れ、
傍らには健気な家族が住んでいた。


その子の母親も小さかった。
たぶん遺伝なんだろう。
参観日にその母親が現れると、
イヤな奴らの冷やかしの声が飛んだ。
「お前の母ちゃんもチビ」
センセーは静かにさせようとしたが、
自分たちより小柄な大人に大はしゃぎ、
その子は黙っていたけれど、
その子の母親はにこやかだった。
だって我が子の晴れ姿が毎年見れるんだもの。


そこには緩やかな川が流れ、
傍らには慎ましい家族が住んでいた。


その子の父親は老けていた。
お父さんと云うよりお爺さんという風貌だった。
実際は何歳なのか家族以外知らない。
体の具合が悪いというその父親を
見たのは、結局一回だけ。
よぼよぼとした足取りで父親参観に来た。
みんなは誰の親か分からずにキョトンとしていたけれど、
僕は不安げに後ろを向くその子の姿で気がついた。
それ以来、見かけなかったけど、
小さな小さな家が少し大きめの倉庫みたいな家に改装された時、
あのお父さん頑張ったんやなって思うた。


そこには弱々しい川が流れ、
傍らにはひっそりと家族が住んでいた。


図工の時間、隣の席のその子を描いた。
本物よりできるだけ美人に描いた。
描き込みすぎて迫力が出てしまった。
「あんな顔、よう見るわ」
「うわぁ、似てる~」
などとイヤな奴らが言って笑った。
なんで似てるのに笑われるのか。
あの子の顔を見たら目でも潰れるのか。


そこには貧しい水量の川が流れ、
傍らにはこらえた家族が住んでいた。


中学生になってもその子は小柄なままだった。
遺伝だとすればもう伸びないだろうって思うた。
運動も勉強もからっきしダメなままで、
馬鹿にされていじめられても無遅刻無欠席。
正直、何が楽しくて何が目的で、
その子が頑張っているのか分からなかった。
卒業後、進学した様子もなく、
あの家はあるのに行方知れずのままだった。
そうこうしてるうちに何十年も過ぎた。
あの老いた父親は亡くなったろう。
その子もあの母親も泣いたろう。
ささやかなささやかな幸せがあったから頑張れたからきっと泣いたろう。
ささやかなささやかなあの頃を思い出して泣いたろう。
あの子は晴れ姿をお父さんやお母さんに見せられただろうか。
あの子は何もかも乗り越えて今でも居るだろうか。
たわい無いお笑い番組でも観ながら煎餅でも食いながら屁でもこいてるといいな。


そこには清らかな家族が住み、
傍らにはこらえた涙が流れていた。
その涙の雫をこぼしながら、
小さな花が強く凛と咲いていた。



 
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