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【大阪タワー☆忘れたい人】
良心の呵責に苛まれ続けるブログです。



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カレーライスはもう作らない
 僕はカレーライスを作らない主義である。カレーは外で食べてくるものだと定義している。というか決めつけている。その理由を今日は述べたい。

 あれは母の葬儀が終わった後、食事というものに困った頃のこと。

 朝食と昼食は各々が何かを買ったり作ったりして、各自の部屋で引き蘢って食べていた。オヤジが作ったものが不味すぎて、弟は一切食べずに部屋に籠ってコンビニ弁当ばかり食っていた。このままではいけないと、母の付き添いを終えて完全なプー太郎になった僕は、2人のために夕食を作るのが日課になった。

 最初は悪戦苦闘だった。独り暮らしで培った料理の腕は、自分が食う分には問題なかったのだけども、人に食べてもらう食事を作るのはほぼ初めてだったので、例えば鍋(水炊き)でさえも単なるごった煮になってしまっていた。

 その頃は昼間に『金子信雄の楽しい夕食』が放送されていたので、僕はそれを真似して夕食を作るようになった。どういうタイミングで何を入れるか、下ごしらえはどうするか、などは金子信雄さんに習ったようなものだ。

 そして、いつの間にか僕の日課は決まったものになっていた。朝昼兼用の食事は、ごはんにベーコンエッグを乗っけたものだけで、それから金子信雄さんのレッスンを受け、マウンテンバイクで琵琶湖へ行き、ブラックバスを釣り、比良山に沈みながら湖面を照らす夕景を見、スーパーマーケットへ買い出し、帰宅して金子信雄さんに習った夕食を3人分作っていた。そんな日々が続いた。

 自分でもイマイチと思った料理を2人ともが残した日はとても哀しかった。金子信雄さんを少し恨みそうになったこともある。だから、僕独自のメニューも作るようになった。なかでも好評だったのがハヤシライス。食が細くて好き嫌いの激しい弟が何杯もおかわりしてくれた。弟もオヤジも「おいしい」とは言ってくれなかったもののとても嬉しかった。料理を作って気に入ってもらえる喜びを知った。あんなに素晴らしいことはない。たぶん、弟にとってはハヤシライスが母の味ならぬ兄の味だったろう。 今はもうハヤシライスを弟に食べさすことはできない。遺書を残して失踪したままなので……。

 カレーライスも作った。大鍋にいっぱい作った。さすがに母のように鶏ガラからスープを取るなんて面倒なことはできなかったけれど、それなりの味にでき、弟にも好評のようだった。


 
 しかし、いつまでも家政婦のようなままで過ごしているわけにはいかなかったので、僕は堺市の女友達の家に居候しながら、その友達のお父さんの稼業である型枠解体工(通称:バラシ屋)を始めた。「工員」という職業になった。ニッカポッカと地下足袋を履き、バールや金槌を使い肉体労働者というものになった。

 仕事から友達の家に帰宅してすぐお風呂に入らせてもらい、夕食を食べさせてもらい、当時は中学生だった友達の妹さんの部屋で二段ベッドの上下に分かれて寝て過ごした。毎晩、妹さんの寝言がものすごかった……。ところが、そこのお父さんが「お前らいつ結婚するんや?」と勘違いしだしたので、さすがに僕は戸惑い、近所にマンションを借りて独り暮らしを再開した。

 週末、実家に帰ったら案の定、弟がコンビニ弁当の空箱を積み上げていたので、またいろいろ作っていた。何度目かの週末、僕はカレーを作った。よくできたらしく弟も部屋に引き蘢りではあったけれど、何度も台所に行ってはおかわりをよそっていた。

 そんなときにオヤジがこう言った。

「カレーはもう作らんでええからな。スーパーでレトルトのやつがひとつ100円で売ってるさかいに!」

 心無い言葉と100円のレトルトカレーに負けて打ちのめされた僕は、二度と実家で料理を作らなくなった。実家にも滅多に帰らなくなった。弟は二交代で深夜も働き、コンビニ弁当の空箱を増殖させていった。

 いま考えると、弟には本当にすまないことをしてしまったと思う。オヤジも悪気はなかったろうけど、その頃は随分恨んだ。だから僕は現在でもカレーを作らない。あの頃より料理の腕は上がったけれど、僕はもうカレーだけは作らない。そう決めていたけれど、こんど懐に余裕があるときに作ってみようと思う。いや、思えるようになった。

 特別に旨いわけでもないし、市販のカレールウを使うだけだけれど、家族分を大量に作ってみたい。もちろん母の分も。だから……
 もうカレーライス作らないなんて~言わないよ絶対~。
 
 
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